『デモリションマン』オリジナルポスター
『デモリションマン』がアメリカで公開されたのは1993年。当時のシルベスター・スタローンでいうと『オスカー』(1991年)と『刑事ジョー ママにお手上げ』(1992年)のコメディ2作が失敗作との烙印を押された後、『クリフハンガー』(1993年)の起死回生の大ヒットによって再びアクションスターとして復調の兆しを見せていた頃の作品だ。
前そんな状況もあって、『デモリションマン』には当時としては大作クラスの5700万ドルという巨額が投じられ、主題歌には大物アーティストであるスティングを担ぎ出し、映画と同じタイトルのポリス時代のナンバー『デモリションマン』のリメイクを依頼するほど期待が込められた作品になった。
冷凍刑に処された1990年代の凶悪犯フェニックスと、フェニックスの罠にはまり罪を償うことになった刑事スパルタンの二人が36年後の未来世界で目覚めて対決するという内容の『デモリションマン』だが、SF設定もスタローンにとっては新鮮で、ド派手なアクション映画の名物プロデューサーとして知られるジョエル・シルバー製作作品というのもファンの期待値をさらに高めていた。
スタローンは“デモリションマン=破壊屋”と呼ばれる刑事スパルタン役を演じているが、たとえ舞台が未来世界であっても完全なまでにいつものスタローンであり、20世紀に取り残された時代遅れの刑事という設定もこの頃のスタローンのイメージと重なっていて面白い。宿敵フェニックスに扮するのがウェズリー・スナイプスというのもまさにハマリ役で、対照的な二人のキャスティングは最高と言うほかない。
映画はいきなりクライマックス状態の激しいアクションシーンから始まるが、舞台が2032年の暴力も犯罪もなくなった時代に移ると途端に作品はコメディ路線にシフトする。
本作の未来世界における大統領がシュワルツェネッガーにされていたり、使い方がよく分からない3枚のトイレの貝殻などカルチャーギャップによる小ネタも楽しく、その未来設定がスタローンとスナイプスの暴れっぷりを際立たせ、迫力満点のラストの格闘シーンまで飽きる暇もなく一気に観せてくれる。
また、本作には『スピード』でブレイクする直前のサンドラ・ブロックが20世紀マニアの警部補役として出演。親近感溢れるキャラクターを好演し、スタローンの相手役という大役を見事に果たしている。
全米初登場第1位!10月公開作品の歴代オープニング記録を樹立した『デモリションマン』の興行成績
1993年10月8日から全米2246館で公開された『デモリションマン』は、公開3日間で1426万ドルの興収を上げ、スティーブン・セガール主演のアクション大作『沈黙の戦艦』の持つ10月公開作品におけるオープニング興収記録を更新した。
また、ここ日本では1994年2月11日に封切られ、映画ランキングでそれまで10週連続首位を独走していた『クリフハンガー』を追い抜いて初登場1位を記録。スタローン主演作が1位と2位を独占するという快挙を成し遂げ、何度目かのスタローン旋風を巻き起こした。
スタローンがコメント!『デモリションマン』続編の可能性は?
2020年、『コブラ』のリブート企画や『デッドフォール』の続編など驚きのニュースが次々と報じられるなか、5月に入るとなんと『デモリションマン』までもが続編企画を進めているとスタローン自らインスタグラムでコメント…!ワーナー・ブラザーズと共同で準備を進めていることを明らかにした。
どこまでがスタローンのリップサービスなのかは定かではないが、これは期待して待つほかないビッグニュースだ。
『デモリションマン』作品情報
原題:Demolition Man
監督:マルコ・ブランビラ
脚本:ピーター・M・レンコブ、ロバート・レノウ、ダニエル・ウォータース
出演:シルベスター・スタローン、ウェズリー・スナイプス、サンドラ・ブロック、ナイジェル・ホーソーン、デニス・リアリー、ベンジャミン・ブラット
音楽:エリオット・ゴールデンサール
全米公開:1993年10月8日
日本公開:1994年2月11日
全米映画ランキング:初登場1位
全米興行収入:5806万ドル
日本配給収入:6億5000万円
全世界興行収入:1億5906万ドル
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