スタローン渾身のスーパー・バンドック巨篇!『ロックアップ』

『ロックアップ』オリジナルポスター

体を張ったシルベスター・スタローンの演技が堪能できる監獄アクション・ドラマ

1989年12月、スーパー・バンドック巨篇という何か凄そうだがよくわからない謳い文句とともに90年正月作品として公開された『ロックアップ』は、同時期に公開された『バットマン』や『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の影に完全に隠れてしまい不幸にも大ヒットするまでには至らなかった。そんなこともあってか、スタローン作品としてはそれほど知名度が高くない『ロックアップ』だが、その熱い展開からファンからは高い支持を得ている作品である。

ストーリーは、スタローン演じる模範囚フランク・レオンが突然“地獄の館”と呼ばれる刑務所に移送され、そこで待ち構える極悪刑務所長に徹底的に痛めつけられるというもの。刑務所内の話だけにシチュエーションが限られるなかでも、全編テンポよく飽きさせない展開が盛り込まれていて監獄映画の面白さを十分に堪能することができる。

前半の見せ場となるのは、刑務所長ドラムグールの息がかかった凶暴な囚人たちを相手に泥沼のグランドで繰り広げられるアメフト・シーンで、大男たちに跳ね飛ばされながらも何度も立ち上がるフランクの姿が胸を熱くさせる。この試合を通して周囲の登場人物たちの心情の変化を描写しつつも激しく見応えのある名シーンに仕上げたジョン・フリン監督の手腕が光る。

あの手この手でフランクへの嫌がらせを続けるサディスティックな刑務所長ドラムグールに扮するのはドナルド・サザーランド。大物スターらしい圧巻の存在感で陰険な敵役をこれ以上ないくらい憎々しく演じている。

ドナルド・サザーランド以外にも、フランクに近づき脱獄に協力させようとするお調子者の囚人ダラスにトム・サイズモア、車修理班長のボスであるエクリプスには数々のスタローン作品や『ラスト・アクション・ヒーロー』のデッカー警部補役でおなじみのフランク・マクレー、ドラムグールの息がかかった凶暴な囚人チンクに『プレデター』で独特な存在感を発揮したソニー・ランダム、鬼看守長メイズナーにジョン・エイモスなど、映画ファンのツボを突いたクセのある俳優陣が顔を揃えている。

終盤まで理不尽な仕打ちに耐え続けるフランクだが、ドラムグールの卑劣な罠についに怒りが爆発。クライマックスとなる怒りの反撃が本作の最大の見どころとなっている。


これが「スーパー・バンドック」だ!
『ロックアップ』のプロモーション


東宝東和によるパワフルな宣伝が炸裂した『ロックアップ』だが、映画チラシやポスターなどに掲載されたインパクト重視の作品紹介も印象深いものがあった。

「脱出なるか!?仕掛けられた10大トラップ!!」と紹介された映画内容は、誇張されすぎてそんな場面があったのか疑わしいレベルだが、怒りや失望を覚えた観客はいなかったはずである。

脱出なるか!?仕掛けられた10大トラップ!!

  • ここは全てが巨大メイズ(迷路)の超ハイテク要塞だ。
  • あと8秒──恐怖の時限装置を解除せよ!
  • 待て!──その地下水路は高圧電流の海だ!
  • “地獄の案内人”が仕掛けるデス・ファイト!
  • 解き放たれた、5000人の凶悪犯!
  • 信じていいのか──最愛の恋人が死んだ?
  • 護送車という名の“死の方舟”
  • 迫りくる完全武装の猛走車!
  • 全ての司令を下す、殺人コントロール・タワーはどこだ!?
  • そして最後のクライマックスへ──いま、超ハイテク要塞は炎と化した!!

『ロックアップ』の興行成績


アメリカ国内ではわずか1606万ドルの興収に終った『オーバー・ザ・トップ』(1987年)、アメリカ国外では大ヒットしたものの全米興収は前作の1/3程度にとどまった『ランボー3 怒りのアフガン』 (1988年)と、当時アメリカでスランプに陥っていたスタローンだが、1989年のサマーシーズンに全米公開された『ロックアップ』も初登場6位と惨敗を喫した。


『ロックアップ』のエンディングを締め括る感動の主題歌『ザ・ワールド・ビガン』


『ロックアップ』の主題歌『ザ・ワールド・ビガン(原題:Ever Since the World Began)』を歌うのは、サバイバーの2代目ヴォーカリストとして『ロッキー4/炎の友情』の主題歌『バーニング・ハート』でもスタローンと組んだジミ・ジェイミソン。サバイバーの初代ヴォーカリスト、デイヴ・ビックラーが歌っていた名曲『ザ・ワールド・ビガン』(サバイバーが1982年に発表した3作目のスタジオ・アルバム『アイ・オブ・ザ・タイガー』に収録)をバンド活動休止中だった1989年にカバーしたものが、映画『ロックアップ』に採用された。

ジミ・ジェイミソンの凄まじい歌唱力により、デイヴ・ビックラーが歌うオリジナル・バージョン以上に力強く感動的な仕上がりになっているカバー・バージョンだが、残念ながら現在は廃盤で入手困難となっている。


『ロックアップ』作品情報


原題:Lock Up
監督:ジョン・フリン
脚本:リチャード・スミス、ジェブ・スチュアート、ヘンリー・ローゼンバウム
出演:シルベスター・スタローン、ドナルド・サザーランド、ジョン・エイモス、ソニー・ランダム、トム・サイズモア、ダーレーン・フリューゲル
音楽:ビル・コンティ
全米公開:1989年8月4日
日本公開:1989年12月2日
全米映画ランキング:初登場6位
全米興行収入:2210万ドル
日本配給収入:4億8000万円


ロックアップ
(Blu-ray)