ついに日本公開!『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』は『ロッキー4/炎の友情』からどう変わったのか?!

2022年8月21日更新

『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』のポスタービジュアル

シルベスター・スタローン監督・脚本・主演作『ロッキー4/炎の友情』をスタローン自ら再構築したディレクターズ・カット版『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』が、日本でも2022年8月19日よりついに公開された。

『ロッキー4/炎の友情』は、親友アポロの命をリングで奪ったソ連最強のボクサー、ドラゴに立ち向かうロッキーの勇姿を描いたシリーズ第4作。

1985年、当時キャリアのピークを迎えていたスタローンにより創り出された『ロッキー4/炎の友情』は、MTVにインスパイアされた編集スタイルと、時代背景として取り入れられた政治的な設定が批評家から嘲笑されたにもかかわらず、全米興収1億2787万ドル(現在の3億2782万ドル相当の興収:2022年8月時点の換算)を稼ぎ出す大ヒットを記録し、さらに現在に至るまで多くの熱狂的な支持を獲得し続けている。

そんな大ヒット作にも、スタローンは自身が理想とするかたちに作り直したいという想いを長い間持っていたようで、上映時間91分のオリジナルから約40分を削り、42分の未公開映像を織り込んで94分の作品に再構築した『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』を完成させた。

『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』予告編

新しいバージョンでは、どのシーンを削って何を加えるかについて賢明な調整がされているおかげで、オリジナルのストーリーラインはそのままに、それぞれのキャラクターの心情がより深く強調された重厚な作品に生まれ変わっている。一方、一部のファンから悪い冗談とされていたお手伝いロボットの登場シーンは潔く丸ごとカットされ、ブリジット・ニールセン演じるドラゴの妻ルドミラの出演シーンも減らされている。

音楽面では、サバイバーの大ヒット曲『Eye of the Tiger』の配置変更が印象的だが、オリジナル・サウンドトラックに収録されながらも本編未使用だったTouchの『The Sweetest Victory』が今回新たに採用されたのは嬉しい驚きだ。

オリジナルの作品中でも効果的に使われていた、ロバート・テッパーの名曲『No Easy Way Out』や、ジェームス・ブラウンによるアポロ・クリードの入場曲『Living in America』、ジョン・キャファティーの『Hearts on Fire』、サバイバーによる主題歌『Burning Heart』などの様々なミュージックビデオのモンタージュとともに、80年代を思い起こさせるヴィンス・ディコーラのシンセ・スコアは健在で、オリジナルと同様に熱いドラマと音楽とのケミストリーによる高揚感を存分に味わうことができる。

オリジナルの余計な場面を極力削ぎ落とし、ロッキー、アポロ、ドラゴの三者それぞれのドラマが浮き彫りになった『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』──。この夏、もっともエキサイティングな作品である。