ポール・バーホーベン節炸裂のSFアクション超大作『トータル・リコール』

『トータル・リコール』オリジナルポスター

『トータル・リコール』は『ロボコップ』でハリウッドデビューを果たしたポール・バーホーベン監督が、フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』を独自のセンスで映画化したSFアクション超大作。

火星に取り付かれた男、ダグラス・クエイドをアーノルド・シュワルツェネッガーが演じ、クエイドの妻役には当時ブレイク寸前のシャロン・ストーンが抜擢された。

西暦2084年。地球に暮らす肉体労働者のダグラス・クエイドは、妻ローリーと幸せに暮らすものの、毎晩行ったこともない火星の夢に悩まされていた。このとき多くの人々が暮らす火星では、エネルギー鉱山の採掘を仕切る独裁者コーヘイゲンとそれに対抗する反乱分子の争いが連日続いていた。

火星のことが気になって仕方ないクエイドは、会社の同僚ハリーの反対を押し切って火星旅行の記憶を売るというリコール社のサービスを受けるが、それをきっかけに自らの真の姿に疑いを持ち始める。その後、同僚のハリーや、妻ローリーが実は自分の監視役だったことを知ったクエイドは、さらに、コーヘイゲンの部下であるリクターとその部下たちに追われることになる。

クエイドを追うリクターは群衆の中でも見境いなしに銃を撃ちまくり、クエイドも巻き添えにあった市民を盾にして反撃するなど、とにかくバイオレンスシーンが凄まじい。必死の形相でクエイドを追うリクター役のマイケル・アイアンサイドはシュワルツェネッガーと対等にわたりあうほどの存在感をみせている。

逃走中、謎の男から受け取ったカバンに入っていたモニターに、クエイドと同じ顔をしたハウザーと名乗る男が現れ、クエイドは自分が記憶を消されたハウザーの仮の姿であることを告げられる。

一体自分は何者なのか?クエイドは、モニターから語りかけるハウザーの指示に従い火星へ向うのであった──。

頭に埋め込まれた追跡装置を鼻から取り出したり、太ったおばさんの変装から正体を現すお馴染みのシーンなど、SFXが満載。これらの印象に残るシーンで使われた当時の特殊メイクは何処か愛嬌があって楽しい。

派手なバイオレンスシーンやグロテスクな描写はR指定を受けるのも納得だが、全体的にどこかユーモア漂う作風はいかにもポール・バーホーベンらしく、記憶を消された男の自分探しに加え、この体験のすべてが夢なのか?と思わせる二転三転するストーリー展開はやっぱり面白い。


『トータル・リコール』の興行成績


当時の映画史上最高額となる制作費6500万ドルが投じられた超大作『トータル・リコール』は、1990年6月1日に全米2060館で公開。週末3日間で2553万ドルの興収をあげて見事首位デビューを果たした。

この成績は『バットマン』(4048万ドル)、『ゴーストバスターズ2』(2947万ドル)、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(2935万ドル)、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(2783万ドル)、『ビバリーヒルズ・コップ2』(2634万ドル)に次ぐ歴代6位のオープニング興収となり、最終的には1億1941万ドル(現在の2億5824万ドル相当の興収:2020年5月時点の換算)を稼ぎ出す大ヒット作となった。


『トータル・リコール』
オリジナルサウンドトラック


アカデミー賞を受賞した『オーメン』をはじめ、『パピヨン』『チャイナタウン』『エイリアン』『ランボー』シリーズなど数々の作品で知られる巨匠ジェリー・ゴールドスミスが『トータル・リコール』の音楽を担当。映画のオープニングタイトルで流れる『The Dream(火星の夢)』は、シンセパーカッションとオーケストラを見事に融合させたジェリー・ゴールドスミス渾身の一曲だ。


『トータル・リコール』作品情報


原題:Total Recall
監督:ポール・バーホーベン
脚本:ロナルド・シュゼット、ダン・オバノン、ゲイリー・ゴールドマン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、シャロン・ストーン、レイチェル・ティコティン、ロニー・コックス、マイケル・アイアンサイド
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
全米公開:1990年6月1日
日本公開:1990年12月1日
全米ボックスオフィスランキング:初登場1位
全米興行収入:1億1941万ドル
日本配給収入:24億1200万円
全世界興行収入:2億6132万ドル