シュワルツェネッガーVS.地球外生命体!SFアクションの傑作『プレデター』

『プレデター』オリジナルポスター

1987年に公開された『プレデター』は、中南米のジャングルを舞台に特殊部隊の隊員たちと地球外生命体プレデターが死闘を繰り広げるSFアクション。特殊部隊を率いるアラン・”ダッチ”・シェイファー少佐をアーノルド・シュワルツェネッガーが演じる。

監督は、デビュー作『ノーマッズ』がカンヌ映画祭で好評を博し、本作が2作目となるジョン・マクティアナン。製作は、ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルバー、ジョン・デイビス。クリーチャーデザイン・視覚効果は『ターミネーター』『エイリアン2』のスタン・ウィンストン。音楽は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『デルタフォース』のアラン・シルヴェストリと一流揃い。

冒頭、アラン・シルヴェストリ作曲のお馴染みのテーマ曲にのせて、南米の基地に到着した隊員たちが次々とヘリコプターから降りてくるだけのシーンからとにかくカッコいい。基地で部隊を待ち受けていたディロンとシェイファーがバチーン!と握手をする二の腕の大写しも記憶に残る名シーンだ。

シェイファーのかつての同僚で現在はCIAの役人として働くディロンを演じるのは『ロッキー』のアポロ役であまりにも有名なカール・ウェザース。

暇さえあればT字カミソリでヒゲを剃る黒人軍曹のマック、噛みタバコを常用する巨漢の兵士ブレイン、ネイティブアメリカンの末裔ビリー、メキシコ系の斥候兵ラミレス、下ネタを言い続ける無線技師ホーキンスという5人の隊員たちはいずれも個性派揃いで、全員のキャラが立っているのも本作の素晴らしいところ。

ホーキンスを演じるのは、当時『リーサル・ウェポン』の脚本家として注目されていたシェーン・ブラック。2018年には、シリーズ通算6作目(番外編含む)となる『ザ・プレデター』の監督に抜擢されたことでも話題を呼んだ。

中南米某国で行方を絶った重要人物を奪還するためジャングルに潜入した一行は、残虐な殺され方をしたアメリカ兵士たちの死体に遭遇しながらも、ついにゲリラのアジトを発見する。激戦の末、ゲリラを全滅させるが、この任務が国際問題に関わる重要文書を奪うためのディロン陰謀だったとわかる。

しかしここからが本編。捕虜のアンナを連れて帰路に就く隊員たちがプレデターに次々と惨殺されていくというホラー的な展開に進んでいく。光学迷彩でカモフラージュしたプレデターの姿は人間からは見えず、恐怖を倍増させる演出が巧みでプレデターの視点からの映像も新鮮で効果的だ。

個性的な隊員たちの中でも特に印象に残るのがソニー・ランダム扮するビリー。鋭い第六感を持つビリーは、いち早くこの惨劇を感じ取り、冷静ながらも何かに怯えているような様子を見せる。

一人ひとり殺されていく中、隊員たちもただではやられず、姿が見えない相手にきっちり銃撃を撃ち込んでプレデターが血を流しているのを発見する。そしてシェイファーがつぶやく。「血が出るのなら、殺せるはずだ…!」

プレデターの視覚から姿を消す方法を見つけたシェイファーは遂にプレデターに戦いを挑むことになるが、クライマックスに到るまでもジョン・マクティアナン監督の工夫を凝らした演出は見事で観る側を全く飽きさせない。

エンドロールではメインキャストがそれぞれ紹介され、笑顔を見せてくれるのも嬉しい演出だ。

とにかく、本作はプレデターというキャラクターを世に送り出した記念すべき第1作として、映画史に名を残す傑作の一つであることは間違いないだろう。


『プレデター』の興行成績


全米公開とほぼ同時に日本でも公開された『プレデター』は、映画の公開までプレデターの姿をメディアに露出しないプロモーションと、来日したシュワルツェネッガーの精力的なキャンペーンが功を奏して、配収7億5000万円のヒットを記録。

日本では『コマンドー』の配収11億円には及ばなかったものの、アメリカ本国ではこの時点のシュワルツェネッガー主演作として最高額となる5974万ドルの興収(現在の1億3976万ドル相当の興収:2020年6月時点の換算)を記録した。


『プレデター』作品情報


原題:Predator
監督:ジョン・マクティアナン
脚本:ジム・トーマス、ジョン・トーマス
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、カール・ウェザース、エルピディア・カリーロ、ビル・デューク、ジェシー・ベンチュラ
音楽:アラン・シルヴェストリ
全米公開:1987年6月12日
日本公開:1987年6月28日
全米映画ランキング:初登場1位
全米興行収入:5974万ドル
日本配給収入:7億5000万円
全世界興行収入:9827万ドル